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 ■vol.8 衣類のライフサイクルと洗濯

(キーワード:ライフサイクルアセスメント、 洗濯、環境負荷、エネルギー、衣類)

洋服をライフサイクル視点で見てみると、どの繊維で作られているのか、その繊維はどのように作られているのか、どこでどのように生産されているのか、どのように配送されているのか、どのくらい生産されているのか等、色々なプロセスが頭に浮かびます。一着の洋服がどのように資源を使っているか、少し想像がつきやすくなります。

繊維の質という点では、ポリエステルは生産に多くのエネルギーを必要とし、土に戻るのにも非常に長い時間を要するものの、洗って乾かす段階ではエネルギー消費は少なくて済むそうです。綿は育成に多くの水、化学肥料や殺虫剤を必要とし、洗濯にも多くの水が必要、また乾燥にも多くのエネルギーが必要になるそうです。ただ廃棄する際には比較的環境負荷は小さいと報告されています(参照)。

リーバイスはジーンズのライフサイクルを詳しく分析しています。ジーンズ一枚のライフサイクルで約3,800リットルの水(アメリカの一家庭が3日で使用する水の量)、33.4kgのCO2(車で約110キロ移動した場合と同量のCO2)を排出しているそうです。水の使用量という視点から見ると、全体の68%が綿の栽培、23%が消費者の洗濯によるものだそうですが、CO2排出量という視点から見ると消費者によるものが全体の37%を占め、ジーンズの生産によるものが27%を占めています。さらに中国、英国/フランス、アメリカの消費者の洗濯方法による環境負荷を分析し、中国の消費者は冷たい水で洗濯し、日干しするので環境負荷が他の地域に比べて少ないと報告しています。またジーンズを2回着用する度に洗うより、10回着用してから洗う方が、水の使用量やエネルギー消費を最大で80%削減することができるとも報告しています。

洗う回数を少なくする、エネルギー効率の高い洗濯機を使う、洗濯する時にはなるべく冷水で洗濯する、乾燥機を使用せず日干しするという私たち消費者による少しの配慮で洗濯による環境負荷を減らすことができると、ジーンズのライフサイクルからわかります。ぜひリーバイスの報告書もご覧ください。